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アイマール を語る⑥

2002、2003シーズンのUEFAチャンピオンズリーグに出場したバレンシア。

グループリーグは アーセナル ローマ アヤックス と同組になります。

死のBグループと言われ、なんといっても当時世界最強と言われたアーセナルとの

対決にメディアはバレンシア不利という見方が大半でした。

 

少々あおってしまいましたが、そのアーセナル戦でアイマールはやってのけます。

アーセナルはアイマールにプレーさせないためファールで止める戦術。

迎え撃つバレンシアは想定内でしたが、アイマールの技術にかけます。

彼の卓越したドリブルやパスはディフェンスでとらえることができず

足を削る、体を止める以外方法が見当たらない様子でした。

さらに、勝利に飢えた小さなハンターはたとえ届かなくても味方があげるクロスボールに体を投げ出してゴールを狙うなど闘争心を見せつけます。

そして、並外れた集中力とプレイスピードが徐々にアーセナルの牙城を崩しはじめました。

 

白眉だったのはアイマールのアシストです。

 

アーセナルは強力な攻撃陣が機能していましたが、バレンシアのパスワークに苦戦する展開でした。

センターサークル手前でボールを受けたアイマールのマークはパトリック・ヴィエラ。

1対1では分が悪い相手だけに、アイマールは一度パスするようにみせかけてヴィエラがコンタクトするタイミングをずらし、素早いワンタッチでかわすことに成功します。

と思った一瞬、、、フアン・サンチェスがアイマールの進路を作るために

顔を出します。アイマールはその心遣いを的確なタイミングで使い右足アウトサイドでパスを出しワンツーを決め、フアン・サンチェスについていたディフェンスをまんまと右サイドへつり出しました。

アイマールの前にはアーセナルの最終ライン。小さなファンタジスタの攻撃に恐れをなすようにゴール前を固めます。パスコースを消すようにラインを少しずつ下げていき

アーセナルは完璧な守備を作ったように思われました。

アイマールを囲いに追いやった。

もうあと1歩でアイマールを封じれる。

そう思ったはずです。

 

戻りながらプレスにきたディフェンスの足がボールに触れるよりも早く、

しかし、いつ触ったのかという素早さで

右足のアウトサイドでフリーランするカリューへパスを通すのでした。

カリューはGKと1対1。アーセナルのキーパー、スチュアートテイラーは

通るはずのないパスが通り、目の前に突然脅威が迫ってくるという状態でした。

ポジション修正をするまもなく、ニアサイドへゴールを叩き込まれます。

いつパスを出したんだ・・・アイマールは魔法を使ったのか。

スローで見てようやく見えるほどの足さばきに

アイマールがいかにすさまじい選手であるかというスルーパスでした。