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パブロ・アイマール を語る⑤

アイマールがいた時代にバレンシアの実力は

スペインリーグのみならず、世界で名をはせているビッグクラブを脅かす存在へ。

2大巨塔のレアル、バルセロナに土をつけるほどでした。

 

せっかくですので、アイマールバレンシアが生んだ芸術的なゴールとアシストを

お話しできればと思います。

 

まず、バルセロナのレジェンド 元ブラジル代表の10番 リバウドが

そのシーズンのリーガでの最高のゴールを選んだのですが、それがアイマールのゴールでした。

リバウドは「すべてが美しすぎるよ」と絶賛しています。

 

02年9月17日のCLグループステージ第1節、本拠地メスタージャでのリバプール戦

 

バレンシアの攻撃は、引いて守るリバプールの陣形を見事に崩して見せます。

高い位置でボール奪取に成功し、右サイドに上がっていたクーロ・トーレスに渡ります。

パスコースがほとんどない状況で、ボールをほんの1秒ほどキープをしたクーロ・トーレス。

顔を上げると

ペナルティエリアのファーサイドにカリュー、ニアにアイマールがいる状況でした。合わせるにはサイドを縦に突破してクロスを上げるのがセオリーです。しかしプレスが厳しく、引いて守るリバプールに攻撃を撥ね返される可能性が高い状況。

だいたいの場合はボールを自陣へ戻してやり直しますが、バレンシアの選手は

突然攻撃のスイッチを入れるのです。

攻撃参加してきたアルベルダをクーロ・トーレスは見逃さず、マイナスのグラウンダーパスを送ります。この一瞬、バレンシアの攻撃陣はアルベルダの動きを同時に把握し流動的に動き始めます。

アルベルダがトラップするタイミングで早いプレスをかけ、奪いに来るリバプールディフェンス。それを読んでいたアイマールは、ペナルティエリアから数歩戻り、アルベルダのパスコースになります。アルベルダはトラップせず、ダイレクトでアイマールにパスを送り、ワンツーリターンでペナルティ外のやや中央からミドルを狙う動き。

アイマールはシンプルにはたき、アルベルダに打ってくださいというパスをペナルティエリア中央へ。

そのとき

アルベルダとスイッチするように 突然 ルベン・バラハが現れます。予測を上回る展開にリバプールの選手は面食らい、混乱で足が止まりました。次に動くときはバレンシアの攻撃の後手を踏むとも知らずに。

アルベルダはミドルシュートも打てましたが、スルーを選択してバラハにボールを託し、

左サイドに抜けて、リバプールディフェンスの注意を引きつけます。本当に巧みなプレーです。

アイマールの動きに釣られたリバプールディフェンスは、アルベルダのミドルを警戒してしまいました。その一瞬が命取りになります。

堅守を貫いていたディフェンスはペナルティエリア右側にスペースを作ってしまい、アイマールは存在を消し、音をたてず侵入しました。

バラハはペナルティエリアに侵入したアイマールにダイレクトでパスを送ります。

完全にフリーのアイマールは相手キーパーと1対1の状態。

シュートコースは少なかったものの、トラップでキーパーのタイミングをずらしてゴールネット左隅へ流し込みました。

クーロ・トーレス~アルベルダ~アイマール~バラハ~アイマールと4本のダイレクトパスでリバプールディフェンスを無力化して奪ったゴール。ちなみにですが、アイマールの頭を抱えるパフォーマンスはこのゴールで生まれました。

あらためて見ると

まさに芸術です。引いて守る強豪リバプールの牙城を崩すイメージをバレンシアの選手たちは一瞬で共有できていたのです。