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ルイ・コスタ を語る⑦

最期のシーズンを前に引退表明したルイ・コスタ。

その不運とも呼べるシーズンを耐え抜き、ピッチ上では消えることがない魔法を見せつけました。昨シーズンのケガの影響が心配されましたが、闘志あふれるプレーで出場時間はチームトップ。ベンフィカの10番…プロとしての輝き、その責任の重さをピッチの上で表現したシーズンでした。

 

すると、異例ともいえる事態になります。

「ルイ・コスタはずっと私たちのカリスマなんだ。マエストロよ。あと1年その美しい音楽を聞かせてくれ!」

サポーターサイトに愛溢れるメッセージが掲載されました。

すると、引退撤回を求める署名活動にまで発展していくことになりました。

サポーターからどれだけ愛されているのかわかる出来事ではないでしょうか。

私個人の意見ですが、これほど人間性に優れたサッカー選手は滅多にみられるものではないと思うのです…それでいて見ている者を虜にするプレーの数々。

今後、彼のようなプレイヤーは現れてくれるのでしょうか…

あ、話を戻しましょう(汗)

 

その異例の事態はルイ・コスタに現役続行の迷いをもたらしたことでしょう。

しかし、引退の意思は変わりませんでした。

 

「今シーズンでベンフィカで引退を許してくれた全ての人に感謝しています。」

彼らしい本当に優しさにあふれた言葉を送ったのでした。

 

彼のキャリアは本当に苦難の連続でしたが、サッカー選手と同時に、その人間性のすばらしさに尽きるのではないでしょうか。

少し振り返ります。

ベンフィカで注目され、あのヨハン・クライフの熱望でバルセロナ移籍が決定していたのにもかかわらず、財政難だったベンフィカを救うためにその移籍を断念。移籍額が1番高いフィオレンティーナへと移籍します。

フィオレンティーナでも財政難を理由に移籍。ここでも自分の為ではなく、クラブへの恩を忘れませんでした。ミランではタイトルを獲得したものの、新しいタレントにポジションを奪われベンチを温めることが多くなりますが、決して腐らず、ライバルへの賛辞を送る器の大きさを示していました。クラブのために、サポーターのために闘い、最期までチームのために自己犠牲をいとわない、そんな人柄ゆえに誰からも愛されるすばらしい人でした。

もしかするともっと違うサッカー人生があったかもしれない。栄光をたくさんつかめたかもしれない…サポーターはそんな夢を何度語り合ったことでしょう。

 

ルイ・コスタは決してそれに動じず、何より大切にしているものはクラブとサポーター、そして家族だったのです。