番外編
1991年、U-20ワールドユース選手権(今のU20ワールドカップ)
優勝国は、当時黄金世代といわれたポルトガルでした。
大会後、多くの注目を集めてフィーゴやルイ・コスタは海外クラブへ移籍を果たします。
フル代表入りし、初の国際部隊であるユーロ1996大会。
魅惑の中盤を形成したポルトガルは、ポジションを変化させる“アコーディオン・システム”
と芸術的なパスサッカーを展開し、ベスト8に残りました。この大会特に注目をあびたのは
パオロ・ソウザとフィーゴ、そしてルイ・コスタでした。
では語りたい内容に入ります。
ユーロ2000大会。ポルトガルはヌノ・ゴメスという新星とともに躍進します。
中でも印象深い戦い イングランド戦
当時のイングランドにはあのディビッド・ベッカム、マイケル・オーウェンというスターがいましたね。
ベッカム VS フィーゴ メディアが騒ぎ立てていました。
試合序盤からポルトガルは窮地に立たされます。
危険な場面を作ったのはやはりベッカムでした。
前半3分 右サイドにボールが流れ、ベッカムがタッチライン際でなんとか拾います。
ポルトガルのDFは飛び込めず、まるでフリーキックを蹴るようにしてベッカムの正確なクロスがゴール前へ飛んでいきました。
カーブがかかりながらスゥーっと落ちた先には…
ペナルティエリアで1人、フリーになっていたポール・スコールズの頭にドンピシャリ。
幸先よく先制点を挙げました。
負けじとルイ・コスタは奮起します。反撃はイングランドの右サイド。スローインを受けたルイ・コスタは、相手3人をドリブルで置き去りにして深い位置から鋭いクロスを上げ、ジョアン・ピントへ合わせますが惜しくもボールは左へそれていきます。
ならばと、距離25mほどから強烈なミドルシュートを放ちますが、GKシーマンのファインセーブに阻まれます。
徐々に流れを引き寄せていましたが…
前半18分 オーウェンが右サイドでボールをキープしているところへ、ベッカムが走り込みフリーの状態でクロスを上げました。ファーサイドでフリーになっていたスティーブ・マクマナマンはダイレクトで右足を振りぬきイングランド2点目。
見事なスイッチでDFを無効化したプレーでした。
それにしても、ベッカムのクロスはものすごい精度です。
その失点直後、ポルトガル代表は目覚めました。一気に流れを引き寄せます。
前半22分
ルイ・コスタは中盤でボールを呼び込んでいたフィーゴにパスを供給します。ドリブルで持ち込み、ゴールまで25mの距離から右足を一閃。相手DFの股を抜けた凄まじい弾道のミドルシュートがゴールマウス右隅に突き刺さりました。GKのシーマンは1歩も動けず、ボールを見送ることしかできませんでした。
1点を奪ったことで、コンビネーションが冴えわたります。特にフィーゴとルイ・コスタのスイッチプレー・パス交換は止めることができず、イングランドを混乱に陥れていきました。
流れは完全にポルトガルへ傾きます。
前半37分
ジョアン・ピントの巧みな動きが2点目を呼び込みます。ゴール前にたちはだかるDFソル・キャンベルは対格では到底かなわない相手です。190センチ近い身長と、筋肉の鎧をまとった戦士のような体はフィジカルの鬼。170センチほどのジョアン・ピントは、高さ・競り合いでは勝負ができません。
ジョアン・ピントの武器は、スピードとタイミング。ルイ・コスタとの頭脳的なコンビネーションでフィジカルの壁を打ち破ります。
右サイドにながれ、フリーでボールを受けたルイ・コスタはジョアン・ピントの動きを見逃しませんでした。ジョアン・ピントはソル・キャンベルから離れた位置からニアにあいたスペースに走りこみます。
対格差を無効化にするべく、ルイ・コスタはやや低い弾道のクロスボールをあげました。
それはジョアン・ピントが飛び込んで触れるというピンポイントのパス。
華麗なダイビングヘッドはファーポストをたたいてゴールに吸い込まれていきました。
ソル・キャンベルはジョアン・ピントをつぶしにいきましたが、完全に前をとられていたため対応を遅れてしまい、成すすべがありませんでした。
後半に入っても流れはポルトガルでした。
後半14分
新星ヌノ・ゴメスが大仕事をやってのけます。SBから中盤やや右側でポジションをとっていたルイ・コスタはパスを受けるとトラップで一度動きを止めました。フェイントを入れてから緩急で縦に突破して1人をかわすと、4人の選手がルイ・コスタに集中してしまいます。
パスが来ることを信じて、パスコースを作りながら左サイドでDF1人の裏にポジショニングしていたヌノ・ゴメス。準備は万端です。
ルイ・コスタはスピードに乗った状態で、倒れこみながら右足を振りぬくと4人の選手は完全に無効化されてしまいます。まさに棒立ち状態に。
ボールは意思をもってヌノ・ゴメスの右足に飛んでいき、早い弾道でしたがワンバンドさせることでトラップしやすいボールになりました。
ヌノ・ゴメスのワントラップで勝負あり。GKシーマンの前に落ちたボールは次の瞬間ゴールに突き刺さっていました。
3ー2 まさに漫画のような逆転劇です。
オーウェンの負傷交代などもあり、イングランドには落胆の色が見え始めていました。
それでもセットプレーからなんとか活路は見出すものの少しずつ精細を欠いてしまい
最後までポルトガルの攻撃を抑えることができませんでした。
ルイ・コスタ 3アシスト ベッカム 2アシスト
アシスト数がそのまま結果になるという素晴らしい試合。
いまだに色褪せません。
観たことがない方にも是非、この試合は観ていたただきたいです。
下手なりにちょうど10回にわたって語ってきましたが、
ルイ・コスタが好きになったよ…と言ってくださる方が1人でも増えれば
とてもうれしいです。
見てくださり ありがとうございました。
また違う形ででもお話を提供できればと思います。