介護の実態を調べるためだけではなく、単に興味でいろんな施設で働いている
主婦の方とご飯を食べる機会がありました。
非常に的を得た話を聞かせていただきましたので是非紹介したいと思います。
主婦の方(Mさん)
主に経験した介護の仕事
①サービス付き高齢者住宅 ②訪問介護 ③特別養護老人ホーム
サービスとしては3つを経験されています。
派遣パートを主にされているので半年~1年の契約で働き
契約期間が過ぎる前に、契約延長するか新しい派遣先へ働くか…ということをされています。
Mさんは面白い方で、働き口がとてもいい場所であってもあえて契約延長をせず、いろいろ見てまわるという方なのです。
主な目的は、自分の親を施設に入れるかどうかを考え続けているそうです。
そのためには自分の目で見たことや感じたことを総合的に評価して、施設を利用するのか
決めるのだそうです。
働きながら、こんなに具体的に親の介護を考える方は今まで会ったことがないのですが、
働いた場所が多いMさんが、今感じていることを熱く語ってくれました。
施設によって、かかってくるお金や受けられる介護サービスが違うのは当たり前なのですが、今まで見てきた施設の中でMさんが『自分の親をここの施設にいれたい!』と思ったことは・・・
無いそうです。
何年も前から様々な施設を派遣で見てきたMさんですが、施設で特徴を競っていた時代が
終わろうとしている…と言うのです。
結論から申しますと
介護の質を競っていた時代が終わり、元に戻ろうとしている。ということなんですね。
何言ってんだコイツ…と思うかもしれませんが
説明しますね
介護サービスの質の向上を求められ続けている昨今。
サービスや施設によって、利用される高齢者にイベントや趣味活動を提供することで、社会交流の場を作ったり、利用者の施設生活が実りのあるものにするためにモニタリング(評価)を重ねて、少しでも安楽に過ごせるように工夫をしたり…と介護者や施設の努力を求められているのが現状なのです。
それは一体何故なのか。
背景には 虐待 というキーワードがあります。
虐待がない介護を目指し、高い質の介護サービスを提供する。
というのが今の介護の在り方だと言えます。
つまり、一昔前までは今で言う虐待が非常に多かったんですね…
虐待。聞くだけで抵抗のある言葉ですし、パワーワードです。
しかし、「ぇ?そんなことも虐待に該当するの?」と言われる一般家庭は多いのも事実なんですよね。
知らず知らずに虐待にあたることを、身近な家族がしていた
なんてケースも実は珍しいことではないんですよ。
機会があれば、虐待にあたるものを紹介できればと思います。
Mさんの働いている施設で起こっていることですが。
優秀で介護技術に長けている介護職員が、今よりもいい待遇で引き抜かれ
経験の浅い介護職員が取り残されてしまい、対応が追い付いつかずとても大変な
状態だというのです。
そんな施設が向かう先はどうなるのでしょうか
人手がなく、経験が浅い人が残され、介護する利用者は増える
すると…必要な介護をできるだけ絞ってサービスを提供していくという苦渋の決断を
迫られるそうです。
Mさんは「最近そんなのはあるあるよ」と余裕すら感じる発言をされていました。
Mさんはさらに
「この状態で介護を受ける人が増えれば増えるほど、介護する側の負担が今まで以上に増えるし、できなくなってる。ベッドに寝てる方が安全だから立ち歩かないようにすることを家族に同意してもらうんです。もうそうしないとまわらないから、本当に人手不足が深刻なんですよ。だからこの先、人手のない施設では、ベッド上で生活しないといけない高齢者はどんどん増えるんじゃないかなぁと思います。昭和時代の介護に戻るんじゃないかなと心配ですよ」
生の声は非常に説得力がありました。
昭和時代の介護というのは一体どういうものなのか。
ご存じの方はいらっしゃるかもしれませんが、
ベッドに拘束するなどが当たり前だった時代です。
しかし、誤解がないようにお伝えしたいのですが、当時はそれが安全策だったのです。
現在に至るまで、介護の在り方の話し合いを繰り返し、1つずつ改善され、人としてどうあるべきか人権や道徳の面からも考えられた後、
本当にその介護は正しいのか。。を追及されて今の形になったんですね。
努力の積み重ねがあり、今の介護が出来上がったのです。
だからこそ、悪い意味で『戻る』ことは本当に残念なことです。
いえ、戻らざるを得ないのですね。
Mさんの話のほんの1部を紹介しましたが、今回はここまでにしたいと思います。
介護を知りたい方の、お役にたてれば幸いです。