好かれる利用者
好かれない利用者
と分けてしまうと気が引けるのですが
皆さんには是非 介護者に好かれる利用者を目指していただきたいです。
分かりやすく例を出していきたいのですが、あくまで参考程度に聞いていただければと
思います。まず 好かれない利用者 編です。
※事例を変えています
ご夫婦で2人暮らしをしているAさんは、妻が寝たきりになってしまい
老老介護状態でした。妻は身体機能が低下してしまい、食事・排泄など
日常的に介護が必要です。一番の悩みは、排泄の量が多く失禁してしまい
衣服が汚染してしまうことでした。旦那さんのAさんは介護経験はなく、1人で着替えさせることが難しく、汚染した衣類を洗う手間などが苦痛だったため、訪問介護サービスを利用することにしました。
訪問介護は1日に朝・昼・夕の3回で、排泄介助を手助けすることでご主人の負担を減らすという狙いがありました。また、ご主人同意のもと、基本的な介護技術を学んでもらい、日常的な介護を少しでも楽にしていただくことで、自宅生活を継続を目指していくことになりました。
しかし、サービスが開始したときに大きな問題がありました。
それはご主人の性格です。
ご主人のAさんは非常にプライドが高く、人のアドバイスが聞けない方でした。
介護技術を学んでいただこうと、方法を伝えた職員に対して
「あんたらはプロやろ。なんで俺がせなかんねん」と言い始め
早くも介護技術を学んでもらうという支援は崩れさります。
失禁の解決策として、現在では虐待とされる身体拘束の「つなぎ」を自宅で購入し
奥さんに着せるという方法をとられました。
ご主人に虐待にあたるので、しない方がいいことを伝えても
「あんたらに俺の大変さがわかるんか」と話し合いにならない状態でした。
奥さんの失禁が多いことでイライラしてしまい、排泄介助に入っている職員に
あたることもしばしば見られ、「絶対に失禁しない方法はないのか?」と聞かれたり、
介護が大変でしんどいという話や、介護職員は何もしてくれない、分かってくれないなど
不満を長時間言うようになり、ご主人に早くも限界の色が見られました。
そして、失禁や身体機能の低下などは介護職員のせいだと逃避するようになったのです。
その後のアドバイスも聞き入れることはなく、たとえご主人が危険な介助を行っていても
口出しができない状況で、ご主人の過失を責任転嫁されるようになりました。
さて
このAさんは 介護者に好かれない利用者になってしまうのですが、
どこに問題があるのか一緒に考えてみましょう。
①奥さんの介護を放棄する発言をしてしまっている
②虐待にあたることを聞いても、自分の都合を優先してしまう
③現実的に無理な注文をして、自分に責任がないようにしている
④介護職員に責任を押し付けている
Aさんは介護が大変なゆえに、とは言うもののこれでは奥さんが不憫ですね。
介護職員は手助けをする目的もそうですが、支援する家族も前向きになってくれることを
望んでいます。
ところがAさんの場合は、ご主人の精神的な弱さをフォローしなければならないため
ご主人に必要以上に気を使って介護にあたらなければならず、非常にやりにくい状態だと
言えます。
ここで大事なのは奥さんは、だれが見ないといけないのかということです。
奥さんが少しでも楽に過ごせるようになるには、ご主人のAさんの状態も
とても重要になります。
この場合、奥さんがいるせいで俺は大変だ。というのが奥さんや介助者に伝わってしまい
介護をするモチベーションは非常に低くなってしまいます。
Aさんご夫婦を助けたい思いで介護を提供していますが、ご主人の失敗も
責任転嫁されるようでは、必要な介護の提案もしにくいですよね。
Aさんのサービス提供は、気づかれがとても多いため介護する負担は非常に大きく
ご主人が奥さんの介護を放棄していると捉えられます。好かれない要因ですね。