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選んでしまった自殺①

年末年始や卒業、始業シーズンになると

多くなるとされる 自殺

 

ある学生がいじめで自殺した など

とても悲しく辛いニュースを聞かされることも出てきます

 

そもそもメディアでそんなことを取り上げていいのかなと疑問ですが

私自身が自分に抱く恐ろしい感覚が存在します

 

他人事のかわいそうという言葉を投げかけ、いつの間にか無感情、無関心になってしまっていることです

不謹慎ですが 「またか」 と思っている自分がいるのです

いわゆる慣れ

 

私は社会人になりたてのころ、仕事や人間関係に悩み、辛いことが重なって

ただ1日寝れなかっただけでも「死んだほうがいいのかな・・・」と考えた経験を繰り返しました

なんとなく日常をこなし 仕事をなんとかこなして疲弊

うまくいかないことや 理不尽に耐え 謝ることしかできない

毎日がつまらない そんなことばかり考えている自分が居ました

 

そんな中 中学校の同級生が自殺をしたと友人から聞かされるのです

当時24歳。

 

血の気が引き 動揺しました

胸がしめつけられ 信じられなかったのを覚えています

 

 

その同級生は とても頭が良くて おだやかで 面白い人でした

有名企業に就職し 順風満帆

幸せな生活を築いていくだろう

彼をうらやんだり たたえる声は多く

知っている人は そう信じて疑わなかったと思います

 

 

友人と一緒に 彼の家を訪ねると ご両親が出迎えてくださいました

笑顔がやつれ 最愛の子に先立たれた苦痛をものがたっていました

 

招かれた部屋に位牌があり 手を合わせて 言いようのない感情がでてきたころ

彼のお父さんが「見てやってください」 と大切に扱われている

遺書を見せてくださいました。

 

遺書には 苦悩が刻まれていました

 

誰にも相談できない 解決できない悩み

ずっと ずっと 長く悩み苦しんでいたこと

彼にしかわからない 物事のはかり方や自分への評価

仕事の同僚 友人 恋愛感情を抱いた方への感謝の言葉

 

遺書を目で追うと 彼の声がささやいてくるようでした

 

私自身 無力感に襲われ 涙も出ず 内臓の奥底から ゆっくり波のように

吐息がもれだしたのを思い出します

 

 

私も死にたいと思っていたんじゃないのか…

なのになぜ 人の死は悲しく こんなに無力なんだろうか

お前はすごいな、自分で命を絶てるなんて…

私は思っていてもできなかったよ

 

10秒ほどの間に 頭の中をぐるぐると言葉だけが回り続けました

 

遺書を見ても 信じられず 友人と固まっていたところに

 

彼のお父さんが 辛い思いをこらえつつ

彼が自死する前の様子 自死したときのことを教えてくださいました

 

東京の社宅で生活を送り 休みは趣味のアウトドアや旅行

会社での勤務態度 成績はとても優秀

上司、同僚とも今後の活躍に期待するほどの人材でした

 

勤続3年目。

 

連休は決まって 趣味を楽しむことに使っていた彼が

突然実家のある関西へ帰ってきました

 

いつもは連絡をしてくるマメな性格だったので 不思議に思った両親でしたが

久々の息子の帰還に喜びました

 

しかし どこかボーっとしている様子が心配になり 最近の仕事

悩みがないのか聞いてみましたが 「大丈夫」 と1言

 

それでも家族で外食にいくと いつも見る笑顔

考えすぎかな でも心配だな 何かあったのかな

と思いながら 我が子に少し気を使いながら過ごしていました

 

3日目の昼 「明日夜勤だから、夕方に帰るね」と言いました。

ご両親はやっぱりと変だと思い はじめて踏み込みます

「予定は何でも前もって言うのに どうしたの? そんなに仕事が忙しいの?」

「1日ぐらい休んでも大丈夫だろ?」

すると

「うん。まあね。」とだけ返し 帰る支度を始めていました。

 

 

両親は後悔していると言います。このときに止めていればとこの先もずっと

考えてしまうだろうと。

 

 

あまり会話をせず3日間過ごし ご両親は「またいつでも帰っておいで」

という言葉を送りました

 

彼は「うん そうする ご飯ありがとう」と返したそうです

これが最後の言葉。

 

彼がこの世から去るのは翌日の朝。

夜勤の休憩のため、仮眠で自室に戻ったときでした。