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選んでしまった自殺②

休憩から戻らない同僚が不思議に思い、部屋を訪ねると

扉は開いていました。

 

声をかけながら部屋に入った同僚は、クローゼットで冷たくなった彼を見つけるのでした。

彼の手元から零れ落ちた遺書と共に。

 

警察が現場検証した結果 自殺と断定。

誰も予想しなかった結末に 同僚の方々は茫然自失でした。

 

何故… どうして…

遺書を読むことはできませんでした。

警察の方が大方の内容を伝えてくれましたが、、、読むことができませんでした。

 

1日たって、彼の遺体を安置されてから 常務が代表して彼の遺書を読むことに

しました。

不安な気持ちをかかえたまま 彼が何を書き残したのかを伝えるために。

 

そこには 会社の同僚ひとりひとりへの感謝の言葉と

片思いをしていた女性への思い

そして 自分が誰にも相談できなかった 吃音

自分が緊張してしゃべれないことへの腹立たしさ

悩み 苦痛 同僚との比較をしてしまったことで

自分自身を傷つけ続けた日々

 

全く、誰一人として、彼の悩んでいるそぶりや

抱えていた苦痛に気づいていませんでした。

 

遺書の内容を見て 知って 同僚の方はただただ驚いたそうです。

と同時に 「なんで死ぬんだよ」「頼りになれなくてごめん」と

涙しながら自分たちを責め続けました。

 

私も 彼の遺書を見せてもらいました。

彼らしい 本当に気遣った文章。

死ぬ選択を申し訳なく思う内容。

両親や 友人への感謝。

言うことすらためらっていた気持ちの数々。

 

周りの人が気にしないことが

彼にとっては とても大きな苦痛であり

長年真剣に悩み続け 自らの人生を終わらせてしまいました。

 

命を絶つということは もう2度と会えないということ

それを理解しながらも 自ら命を絶ってしまうこと

 

理由は様々ですが

 

誰にも理解されない悩みは その人を独房に入れてしまい

この世で独りになったような孤独を与えてしまうのだと

人の悩みを 自分の物差しではかったり 判断することはあってはならない

 

私は彼の命から学びました

 

あなたは独りじゃない

あなたが死ねば たくさんの人が悲しむ

 

当たり前に説得されていることも 理解しているのです

 

それでも 止められなかったその選択

 

だからこそ思います

 

話をしてほしい どんなささいなことでも

そのためには 気づける目と 聞く耳を持たなければと

話しやすく 頼れる人間にならねばと

こんな悲しい思いは もう御免です

 

いのちの電話 それを頼ってほしい 切に願います

もしかしたら 気持ちが変わるかもしれない

最後に食い止められるかもしれない

 

でも命を絶つ決断をした人には その選択肢はない気がします

 

自分で死ななければいけない理由を作ってしまわないように

自分を殺さなくてもいいように