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ルイ・コスタ を語る⑧

2007-08シーズン最後のホーム試合

偉大なマエストロが、指揮棒を置くときがやってきました。

 

ホームスタジアム、エスタディオ・ダ・ルスに集まった観衆は54000人。

英雄の勇姿を見届けようと、別れを惜しむ人々は涙を流しながら

ベンフィカが誇る指揮者へ声援を送りました。

 

試合後、惜しみない拍手とルイ・コスタの名前を叫ぶ大合唱が鳴り響きました。

とても感動的な光景と、温かい空間。

 

「たくさんのファンと、誇りとともに私はピッチを去る日がきた」

向けられたマイクに語り掛けました。

その一瞬一瞬をさみしく思うベンフィカのサポーターは、伝う涙とともにルイ・コスタの声に耳を傾けていました。

 

心に残る言葉を残します。

 

数多く大きな大会で怪我に泣き、クラブの財政難から移籍したことは不運だと思いませんか?もっと素晴らしいサッカー人生を送れたのではないですか?

ルイ・コスタは涙を浮かべながら答えました。

「最後の試合に54000人の人が私に声援を送ってくれた。僕のような幸せ者はいないよ。僕は不運と思わないし、幸せなサッカー人生だったよ」

鳴りやまない拍手がスタジアムを包みました。

 

ベンフィカの10番はユニホームを脱ぎ、ピッチに別れを告げたのでした。

 

彼の引退は古巣ミランでも惜しまれていました。

ミラン会長 ガッリアーニ

「ミラノ市民、そしてイタリア国民は決してルイ・コスタ、あなたのことを忘れないでしょう。あなたはいつまでもロッソ・ネロ家族の大切な1人なのだから」

パオロ・マルディーニ

「ルイ・コスタは今のサッカー界で活躍できる一流の選手であることは僕が一番知っているよ。とても素晴らしい人で偉大な男、友人のルイにありがとうと言いたい。」

 

これは引退の前日に贈られたメッセージだったそうです。

「感動して泣いてしまった」

ルイ・コスタは喜びと感謝の気持ちを記者会見で伝えました。

 

最後の最後まで、素晴らしい人間性を見せてくれました。

サッカー選手である前に、人間であることを教えてくれたルイ・コスタ。

 

そのあまりに美しいプレーは、時代が進んでも輝きを失いません。

クラブを愛し、サポーターのために闘ったマエストロは

だれからも愛されるサッカー選手でした。