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ルイ・コスタ を語る④

苦しいシーズンを送った1年目。

メディアはそんなルイ・コスタに懐疑的でしたが、

2年目のシーズンが始まるとそれは杞憂に終わります。

サッカー選手としてピークを迎えていましたが、磨き上げてきたスキルは輝くばかりで

試合を支配する美しい攻撃はサポーターを魅了していきました。

指揮者がボールをもてば、チームが旋律を組み立て、美しい音楽になる。

まさにマエストロ(指揮者)によるオーケストラだった。そんな言葉で表現されました。

 

実力を証明し、終わってみればチャンピオンズリーグ、コパ・イタリアの制覇を成し遂げ

自身初の2冠を達成します。

 

世界中にとてつもないインパクトを残したのは

チャンピオンズリーグの対レアルマドリード戦

当時のレアルは ジダン、フィーゴ、ラウル、ロベルト・カルロス

ミランにも シェフチェンコ・リバウド・セードルフ・マルディーニ

選手の名前をあげるだけでもその試合の凄まじさが分かりますが

名門同士の戦いに、1つの芸術品が生まれました。

 

前半40分

レアルが前がかりになり、右サイドのフィーゴへボールが渡ります。

フィーゴはペナルティエリアのモリエンテスにクロスをあげましたが、なんとか

コスタクルタが頭でクリアし、そのボールを中盤のセードルフがカラーゼへダイレクトで落とします。カラーゼはクリアもできましたが、落とされたボールの質が高いためすぐにルイ・コスタへパスを送ります。

ルイ・コスタがパスを受けるとすぐさま反転して前を向き、2つのパスコースのうち最もゴールの可能性のある難しいパスコースを見つけます。

相手DF左サイドの裏を狙っていたシェフチェンコまでの距離、およそ30~40m。

一瞬のアイコンタクトのあと…

まるで針の穴を通すようなスルーパスは相手DFの間をすり抜け一直線に伸びてゆき、シェフチェンコの足元に転がっていきました。

シェフチェンコはGKの位置を確認する時間、コースを考える余裕も与えられ

あとは仕事をするだけでした。

 

ルイ・コスタからボールが離れてから約5秒の出来事。

伝説のパスとして、今なお語り継がれています。

 

なぜあのような美しいパスが通るのか。

長い距離のパスであればあるほど、カットされることはピンチを招いてしまいます。

 

秘密は単純でしょうが、日々の練習の賜物。

選手1人1人の性格が違うように、得手不得手、利き足、欲しいタイミングなどは

バラバラです。いかに相手を理解し、気持ちが通じ合えるのかという

意思疎通のクオリティが高いのです。

 

FW~ルイ・コスタ

ここにくれ!→よし、ここだな という感覚の一致

ルイ・コスタ~FW

裏のスペースがあいた→信じて走ろう という感覚の一致

 

という作業が一瞬で判断され相手に悟られず正確に行われたからこそ

あのパスは生まれたのではないでしょうか。